チチワタリ(Titiwatari)

近年目撃することがめっきり減った自然現象である。
毎年新暦の1月1日頃、日本近海において珊瑚の産卵のようにチチワタリは発生すると言われ、
日本では吉兆の表れであると伝えられている。
まれに地中海沿岸での発生が、目撃されることもあるらしい。
生物であると言われているが、研究が遅れているため定かではない。

古代イースター島では頻繁に目撃されたようで、最近の学説ではモアイはチチワタリを見送るために、
古代人が作ったと言う説が有力である。
ナスカの巨大な地上絵は、チチワタリを崇めるためにマヤ民族が作ったものとも言われている。
古代エジプトでは、ファラオの死後はチチワタリになって蘇えるという生死観が一般的であった。
また日本の平安時代には、チチワタリは全国的に目撃されたようで、「万乳集」にも大友家乳が
チチワタリを詠んでいる歌がある。

宮沢賢乳の「乳わたり」は、岩手山上空を浮遊するチチワタリを目撃した時の感動を書き綴った
近代文学の最高傑作である。
長野県諏訪湖の「御神渡り」は、チチワタリが転化され今に伝えられているものであると推測される。

チチワタリは地球上だけの現象であると思われていたが、1969年のアポロ計画によって、
日本近海で発生したチチワタリが月近辺でも浮遊しているのが確認された。
最近では、人類初の太陽系探査船ボイジャーによって、木星の軌道上を浮遊するチチワタリが
撮影され、新聞紙上を賑わしたことは記憶に新しいことである。

一説によると、地球上で発生したチチワタリが宇宙に飛んでゆき、宇宙生命発生の種となっている
とも言われ、地球生命の発生とも密接な関係があるのではないかとも推測されている。
あたかも、それは珊瑚の卵のように宇宙に生命を広げるためのものではないかという学説も、
有力視されるようになってきた。
(ネイチチャー誌より抜粋)