汚れつちまつた貧乳に
 世間の小雪の降りかかる
 汚れつちまつた貧乳に
 世間の風さへ吹きすぎる

 汚れつちまつた貧乳は
 たとへば狸の金の玉
 汚れつちまつた貧乳は
 小雪のかかつてちぢこまる

 汚れつちまつた貧乳は
 なにのぞむなくむねがなく
 汚れつちまつた貧乳は
 倦怠(けだい)のうちに死を夢む

 汚れつちまつた貧乳に
 いたいたしくも怖気(おぢけ)づき
 汚れつちまつた貧乳に
 なすところもなく日は暮れる……

by 汚れつちまつた貧乳に/中原乳也